アトピー性脊髄炎とは

アトピー性脊髄炎  多発性硬化症との違い
アトピー性脊髄炎とは

成人期のアトピー性疾患患者の中で、特異な症状を有する脊髄炎が起こるケースがあることが発見され、「アトピー性脊髄炎(atopic myelitis)」と命名され、提唱されています。

「アトピー性脊髄炎」とは免疫性神経疾患のひとつです。アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎などのアトピー性疾患が先行し、頸髄や脳に炎症を起こしている患者さんが多数存在することが明らかになってきました。発症は急性もしくは亜急性で、その後慢性に経過します。四肢遠位部の異常感覚があり、四肢の腱反射が亢進します。多くの患者さんには運動麻痺や病的反射の出現は認められておりませんが、約10%が重い運動麻痺を発症します。

現在「アトピー性脊髄炎」という病名は、多くの医療関係者にすら認知されておりません。そのために、「原因不明」や「気のせい・気にしすぎ」、「精神的な症状」とされることもあります。



おもな特徴

  1. アトピー性疾患を有する(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、アレルギー性結膜炎など)
  2. 高IgE血症を有する
  3. コナヒョウヒダニ・ヤケヒョウヒダニなどの特異的IgEが陽性である
  4. 四肢遠位部の異常感覚を主とする(四肢のジンジン感など)
  5. 四肢の腱反射の亢進を伴うことが多い
  6. 運動麻痺や病的反射の出現は少ない
  7. 頸髄病変が高率である
  8. 発症は急性ないし亜急性で、その後は慢性的に経過する
  9. 男女別に見る発病率は、1(男):0.65(女)
  10. 平均発症年齢35.8歳(12~75歳)


おもな検査

  1. MRI検査(約6割で病変が認められ、うち脊髄後索に病変が認められやすい)
  2. 血液検査(IgE、特異IgEなど)
  3. 末梢神経伝導速度(約4割の症例で潜在的な末梢神経病変の合併が認められた)
  4. 誘発電位検査(体性誘発電位検査、視覚誘発電位検査、磁気刺激検査等)


治療

  1. ステロイド治療(パルス療法含む)
  2. 血漿交換療法
  3. 血漿交換療法後に免疫抑制剤内服

ステロイド治療の反応性は低いとされていますが、血漿交換の侵襲性、感染症のリスクを考慮し、まずはステロイド治療を行い、症例に応じて血漿交換が実施されています。